これが「恋」だと言うのなら、
誰か「好き」の定義を教えてくれ。
著/北条連理 イラスト/サコ
この「好き」は《偽物》――なんかじゃない。
これは、令和を生きる少年少女たちの不器用で焦れったい等身大の恋物語。
拗らせぼっちの大学生・寺田悠には忘れられない過去がある。
孤独を抱えた冬の夜の帰り道、公園で寒さに震えるあざと可愛い人気者の後輩・藤宮光莉から助けを求められ、家に泊めることに。その日から頻繁に家へやって来る光莉と重ねていく、温かな日常。その不思議な関係は、穏やかに続いていく――はずだった。
「好きです、悠さん」二人の視線が絡み、距離がゼロへと近付く。頭のなかで誰かが言う。《普通》ならここでキスをするのだと。それができない恋は《偽物》だと。
それでも――「ごめん、藤宮。俺はきっと《普通》の恋ができないんだ」
オーバーラップ文庫大賞史上、最も不器用でもどかしい恋物語、ここに開幕。